ソーラー発電システム・太陽光蓄電システム

ソーラー蓄電システム・独立型太陽光発電システムの設計方法

当ページでは、小規模から大規模独立型ソーラー蓄電システムに共通するシステム設計の考え方、その構築方法について、電気的な知識のない方でも理解できるように解説しています。

当店【蓄電システム.com】Webサイトを開設した当時(2011年)には、一般的なチャージコントローラーの90%以上は「PWM制御」製品でしたが、このページを書いている現在(2015年)となった今、「MPPT制御チャージコントローラー」が主流となっております。

したがって、ソーラー蓄電システムの主な使用機器となる「ソーラーパネル」「DC-ACインバーター」「蓄電バッテリー」「チャージコントローラー」の中で、当ページの解説では、MPPT制御チャージコントローラーを使ったシステムの設計方法として記述いたします。

チャージコントローラーはMPPT制御とPWM制御の2種類があるということを説明した画像です

※このページの最後に「PWM制御チャージコントローラー」を使用した場合の簡易的な計算方法についても記載してあります。

1番最初に考えること※「システム構築の目的」

当たり前のことですが、漠然と「ソーラー蓄電システムを経験してみたい」「自家発電した電気を一度使ってみたい」という方では、システム構築そのものがその「目的」となりますので、当店Webサイトの中から予算、規模に見合ったフルセットをご購入ください。

さて、その「目的」とは?

  1. 使用する電気機器の消費電力(W:ワット)
  2. 電気機器を使用する1日の延べ時間(h:アワー=時間)

すなわち、1日に使用する「合計延べ電力量」を理論数値的に算出して、蓄電側バッテリーの容量や種類をまずは選択します。

ここですぐに問題になるのは、バッテリー容量を決める際に、バッテリーに表示された「12V、100Ah」という数値はあくまでも「理論容量」であり、実際に放電できる電力量については、

バッテリーの容量は鉛バッテリーは70%、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは90%で計算

12V×100Ah=1,200Wh ではなく、

放電容量に応じた「実際容量」を考慮しなければならず、またインバーターを介してAC100V出力を得る場合には、「インバーターの変換損失」(10%〜15%程度)+「インバーターの低電圧保護遮断時の放電可能容量率」(約70%)とを合わせて考えなければならないということなのです。※リン酸鉄リチウムイオンバッテリーなら「90%」として計算できます。

ちょっと難しくなりますが、実際に数値に置き換えて検証してみましょう。

消費電力30Wのパソコンを1日延べ6時間動作させたい場合

合計消費電力 30W×6時間=180Wh ですから、実際に必要なバッテリー容量を計算すると、

180Wh÷85%(インバーターの変換損失)÷70%(インバーターの低電圧保護遮断時の放電可能容量率)=約303Wh

となります。

すなわち「303Wh」の理論容量を持っている蓄電バッテリーは、

303Wh÷12V=約25Ah となり、将来的なバッテリーの劣化による容量維持率の低下と、若干の余裕を見て「30Ah」のバッテリーを選択するという結論となります。

実は、この項の解説はこれで終わりではありません。

バッテリー容量の表示は、たとえば「30Ah」と表示されている製品であれば、ソーラー蓄電業界で使用されている種類となるディープサイクル型バッテリーでは、「20時間率容量」として規定表示されています。

「20時間率容量」とは何かと言いますと、「30Ah」という数値は、12Vを連続して20時間出力できたときの消費電力で規定されており、

すなわち、(12V×30Ah)÷20時間=18W の消費電力を使用したときの「全容量」となりますので、

今回例に挙げた「消費電力30Wのパソコン」では、その規定よりも出力が大きくなりますから、バッテリーの理論容量は「30Ahより少なくなる」という現象が起こります。(※ちなみに、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーでは「18W:30W程度」の違いでは、容量維持率を下げることはありません)

「18W:30W」の違いでは、概ね容量維持率を10%程度減少させますが、先ほどの計算式では若干の余裕を織り込みましたので、今回はこのまま「30Ah」容量の蓄電バッテリーをそのまま選択することにします。

2番目に考えること※「システムの無日照動作担保日数」

ソーラー蓄電システムの設計では、無日照動作担保日数をあらかじめ想定し、実際には曇天、雨天でも若干の発電量は得られるものの、この若干量を無視して実際に必要な消費電力量に応じたバッテリーの実際容量を算出します。

(※雨天、曇天時の発電量につきましては、「無日照予備的発電量」として、将来的なバッテリー劣化時の容量維持率の低下に備えてここでは算入外とします)

無日照担保日数を想定する必要があるということを説明したイメージ画像

ここで注意しなければならない点は、たとえば商用電源や代替電源(エンジン発電機等)のない場所に設置して「365日24時間連続稼動を担保」する必要がある場合を除き、無日照日数を多く算定してしまうと、想像以上の大きなシステムになってしまうということです。この点は、具体的な説明の必要はないでしょう。

それでは、以下条件で改めて計算してみましょう。

消費電力30Wのパソコンを1日延べ6時間動作させ、無日照担保日数を「3日間」とした場合

合計消費電力 30W×6時間×「3日間」=540Wh ですから、実際に必要なバッテリー容量を計算すると、

540Wh÷85%(インバーターの変換損失が15%として)÷70%(インバーターの低電圧保護遮断時の放電可能容量率)=約910Wh

となります。

すなわち「910Wh」の理論容量を持っている蓄電バッテリーは、

910Wh÷12V=約76Ah となり、将来的なバッテリーの劣化による容量維持率の低下と、若干の余裕を見て「80Ah程度」のバッテリーを選択するという結論となります。

ここまでは、「3日間無日照」という任意の無日照条件で計算してきましたが、実際に「24時間、365日を絶対に停止させることなく連続稼動させる場合のシステムは、どのくらいのバッテリー容量を必要とするのか?」を次に考えて見ましょう。

3番目に考えること※「代替電源の有無と無日照動作担保日数の考え方」

それでは、以下わが国におけるソーラー蓄電システムを設計するにあたり考えるべき「無日照担保日数」を何日程度想定すればいいのか、以下用途、目的別に分類して記載しますので、ご自身の想定するシステムが、どれに当てはまるのか考えてみてください。

以下、わが国「日本」における気象、お天気データに基づき、無日照の日が連続する出現確率を大雑把に示しておきます。

1.無日照担保日数「1日間」とする場合(翌日が「雨」または「曇天」の天候出現確率は、概ね90%程度となります)
※初めてのソーラー蓄電システムを経験してみたいだけの方は、1日間十分に放電できる蓄電量が得られればいいでしょう。翌日が快晴でなく1日間で満充電にできなくてもよければ、ソーラーパネルの容量も小さく考えて任意に決定してください。
2.無日照担保日数「2日間」とする場合(無日照が「2日間連続する」天候出現確率は、概ね55%程度となります)
※2日間は、想定する消費電力量に応じたバッテリー容量を用意する訳ですが、3日目には快晴を想定して1日間で満充電とすることを条件とするのか、それとも代替電源(商用電源やガソリン発電機)を用意するのかで考え方が分かれます。
3.無日照担保日数「3日間」とする場合(無日照が「3日間連続する」天候出現確率は、概ね30%程度となります)
※無日照担保日数を「3日間」と想定される方々は、あまりシステムを大きくしたくない、設置場所の物理的な制約がある、3日間無日照である場合は代替電源を用意するので問題ない等、「できるだけソーラー電源に頼りたいが停止しても構わない」と割り切った考えをお持ちの方が多く想定しています。
4.無日照担保日数「4日間」とする場合(無日照が「4日間連続する」天候出現確率は、概ね15%程度となります)
※実は、この「4日間」を当店【蓄電システム.com】では、無日照想定分岐点と考えています。わが国の平均的な天候状態としては、梅雨時や秋口に若干高い出現比率があるものの、これ以上の無日照を想定してシステムを構築すると、みなさまのイメージにある実際のシステム規模との乖離が大きくなるようです。
5.無日照担保日数「5日間」とする場合(無日照が「5日間連続する」天候出現確率は、概ね3%程度となります)
※当店で「365日の連続動作は概ね大丈夫でしょう!」と言える無日照担保日数です。もちろん、5日間悪天候が連続する確率は3%程度ありますので、絶対に大丈夫と保証するものではありません。しかしながら、逆な言い方をすれば「3%もの」出現確率がありますので、安心できない方は、限りなく0%の出現確率に近い「7日間」を選択してください。
6.無日照担保日数「7日間」とする場合(無日照が「7日間連続する」天候出現確率は、ほぼ0%程度となります)
※「ほぼ0%」と言える根拠は、7日間悪天候の連続する出現確率が1%未満であることに加え、実際には雨天、曇天時にもソーラーパネルは若干の発電量があり、仮に1日6時間、パネルの定格出力の10%程度を発電できたとして計算すると、(仮に、100Wパネル1枚で計算してみると)

(100W×10%)×6時間×7日間=420Wh

もの、前述した「無日照予備的発電量」を充当することができますので、快晴時には「100Wパネルが70%の発電量を得て6時間発電した電力量」が存在することになります。

最初に例題としてあげた条件で、以下再計算して見ましょう。

消費電力30Wのパソコンを1日延べ6時間動作させ、無日照担保日数を「7日間」とした場合

合計消費電力 30W×6時間×「7日間」=1,260Wh ですから、実際に必要なバッテリー容量を計算すると、

1,260Wh÷85%(インバーターの変換損失が15%として)÷70%(インバーターの低電圧保護遮断時の放電可能容量率)=約2,020Wh

となります。

すなわち「2,020Wh」の理論容量を持っている蓄電バッテリーは、

2,020Wh÷12V=約170Ah となり、将来的なバッテリーの劣化による容量維持率の低下と、若干の余裕を見て「200Ah近い」消費電力量に照らし想定外かつビックリする容量のバッテリーを選択しなければならない、という結論となります。

ちなみに、約200Ahものバッテリーを8日目に満充電とするためには、概ね1年間の平均

日照時間を考慮して「5時間程度」とするのが順当ですから、

200Ah×12V÷5時間=480W ものソーラーパネルを用意しなければなりません。

「えっ?たった30W消費電力のパソコンを1日6時間使うだけで、そんな大きなシステムになってしまうの?」という声が聞こえてきそうですが、この計算式に誤りはありません。

独立型のソーラー蓄電システムを設計するときに、このように「絶対連続動作担保条件」を加えると、必ず大きなシステムになってしまうということだけは、この項で理解してください。

以下URLに、東北大学の山田博仁、澤田延幸教授の学会発表資料「太陽光発電に基づいた生活を営む上での電力供給持続性の数値解析」(2015.3.10:立命館大学)がありますので、当店のこのページと比較してみてください。

「太陽光発電に基づいた生活を営む上での電力供給持続性の数値解析」

「生活を営む品質」を持った独立型ソーラー蓄電システムは、実際にはここに書いたシステム規模を大きく凌駕するものであることも合わせて理解いただけると幸いです。

それでは、最後にソーラーパネル容量の選定を考察、検証してみましょう。

最後に考えること※「ソーラーパネル容量の考え方」

最後に決定するのは、ソーラーパネルの容量となります。前項で若干記載したとおり、無日照が仮に3日間続き、全く充電する機会がなかった場合には、4日目には満充電にする能力を持つソーラーパネルを用意しなければなりません。

もちろん、雨天曇天時であっても全く発電(充電)できないということではありませんが、「3日間の連続動作担保」を条件として設計する場合、4日目は満充電できる能力を持っていなければ、梅雨時のような季節には「次の3日間」の連続動作担保は叶いません。

無日照のあと、満充電にする能力のあるソーラーパネルを用意する必要があるということを説明したイメージ画像

当店では、わが国日本の日照時間の長い季節(春〜秋)と日照時間の短い季節(晩秋〜冬)の十分に充電できる平均的日照時間について、さまざまな実証データに基づき「約5時間」と仮定して、最終的なソーラーパネルの容量をお客様にご案内しております。

したがって、消費電力30Wのパソコンを1日延べ6時間動作させ、無日照担保日数を「3日間」とした場合には、最初の計算式のとおり、

合計消費電力 30W×6時間×「3日間」=540Wh

ですから、

540Wh÷5時間=108W となりますが、100W定格出力を持つソーラーパネルの快晴時の平均的発電容量は「概ね70%程度」と控えめに考えるべきで、

108W÷70%=約152W のソーラーパネルが必要であると結論付けられます。

いかがでしたでしょうか?

わが国日本には四季があり、また全国各地の気象条件がこれまでの理論的な計算式で完全に求められるものではありません。特に、冬季の北陸地方、一部の中部地方では、ほかのエリアに比較して降雪も多くあり、極端に日照時間が短い季節でもあります。

また、ソーラーパネルの設置環境についても、山の山頂でない限り360度パノラマ的に開けているということも少ないはずです。

前述した「5時間の日照時間」とは、そんな劣悪な設置条件であったとしても、冬季の午前9時ごろから午後2時ごろまでの5時間は担保できるはず、という最低ラインとして当店が独自に設けた日照時間です。

したがって、ここまで書いてきた内容は、独立型ソーラー蓄電システムを設計するに当たり、みなさまがお住まいのエリアの平均的な日照時間を詳しく調査し、さらにソーラーパネルの設置環境に応じた容量を考えるための、あくまでも「目安」です。

自家発電システムとは、自由気ままに「発電したときだけ使う」「満充電になったら使い切る」という考え方が最も合理的かつ経済的であることは言うまでもありません。

ソーラー蓄電システムを「楽しく」「愉快に」活用するために

結論から申し上げて、独立型ソーラー自家発電システムで「電気代を節約しよう」という方にはお勧めできません。なぜならば、各地の電力会社で販売する電気の価格は、現在においても自家発電システムの方が高コストだからです。当店のほとんどの会員様、購入者様は、高コストな電気を承知して使っています。

なぜ、でしょうか?

以下、実際の「お客様の声」を列記しますので、これからソーラー蓄電システムの導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。

  1. 何といっても「非常用電源の確保」による安心感が得られる
  2. 原子力発電所をこれ以上作って欲しくない
  3. CO2削減を含め地球環境にやさしく社会貢献したい
  4. 自家発電をした電気には格別な「心温まる」使用感がある
  5. お天道様(太陽光)の恩恵を体験して「生かされている」自分を初めて知った
  6. 以前より増してお天道様との距離が近くなり、自然象形の素晴らしさを実感する
  7. 家族も一緒に楽しめる高尚な趣味と言える
  8. ソーラー蓄電設備を購入する際に、妻の苦情を聞く機会が減った
  9. 周辺機器の接続回路を自作することが楽しみになった
  10. 傲慢経営の電力会社とおさらばしたい

まだまだたくさんありますが、どうかみなさまも列記した「お客様の声」にぜひ加わって、「楽しく」「愉快な」意見を寄せてくださいますよう、心からお待ち申し上げております。

※(PWM制御チャージコントローラーを使用する場合)

MPPT制御チャージコントローラーとPWM制御チャージコントローラーとの充電効率差は、概ね、MPPT制御製品が30%〜40%程度となりますので、ソーラーパネル容量の選定は、上記計算式で求めた容量を「1.5倍」として算定してください。

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